
サクラエディタは、Windows環境で多くのエンジニアやライターに支持される高機能テキストエディタです。その多彩な機能の中でも、特に注目されるのが「Grep(グレップ)」機能です。Grepを使えば、数百・数千のファイルを一括で横断検索し、特定の文字列を瞬時に見つけ出すことができます。
プログラムの調査やログ解析、変数名の一括修正など、開発現場では欠かせない機能です。本記事では、初心者にもわかりやすく、Grepの概要から実践的な使い方、そして自動化まで詳しく解説します。
記事のポイント
- Grepを使うには、ショートカットキー Ctrl + G もしくは上部メニューの「検索 > Grep検索」を選択。
- 正規表現・除外設定・置換機能を組み合わせることで精密な検索が可能。
- 検索結果からのタグジャンプにより、目的の箇所へ即アクセスできる。
サクラエディタのGrep機能の概要
Grepは特定のパターンを検索するコマンド
Grepとは「Global Regular Expression Print」の略で、UNIX系システムで古くから利用されている検索コマンドです。テキストファイルを対象に、正規表現を用いて特定のパターンを検索し、該当する行を出力します。
サクラエディタでは、このGrepコマンドをGUI上で再現し、誰でも直感的に利用できるようになっています。コンソール操作が苦手な方でも、チェックボックスと入力欄を操作するだけで柔軟な検索が可能です。
サクラエディタのGrep機能の特長
サクラエディタのGrepは、単なる文字列検索ツールではありません。以下のような特徴を備えています。
- 複数のファイル・フォルダーを横断検索:対象を広く指定できるため、プロジェクト全体のコードから一括でキーワードを抽出可能。
- タグジャンプ機能:検索結果をダブルクリックするだけで、該当ファイルの該当箇所に直接移動できます。
- 柔軟な検索条件:正規表現対応、除外設定、大小文字の区別など、精度の高い絞り込みが可能。
- 出力形式の多様性:結果をファイルごと・行ごと・文字列単位で出力可能。
- 開発・ドキュメント業務での実用性:変数名や定義の一括変更、ログの特定行抽出などに最適。
サクラエディタ Grep検索の基本操作と設定
確認したバージョン
本記事は下記バージョンのサクラエディタで確認を行っています。
サクラエディタ32bit Ver. 2.4.2.6048 Appveyor (a3e63915b)(GitHash a3e63915b3c3236a9f14fbb27a01cf7acb030f45)(GitURL https://github.com/sakura-editor/sakura.git)
Compile Info: V1916 WPR WIN601/I800/C000/N601 Last Modified: 2022/12/4 15:21:56
Grep条件入力画面の起動
Grepを使うには、ショートカットキー Ctrl + G もしくは上部メニューの「検索 > Grep検索」を選択します。
画面が開くと、検索条件や対象フォルダーなどを指定できるダイアログが表示されます。
grepの主要な検索条件の指定
下記はPythonの関数(def)一覧を取得するgrep例です。
- 条件:検索したい文字列や正規表現を入力します。
- キャプチャ例では
def
を指定
- キャプチャ例では
- 検索場所:検索するフォルダーを指定。エクスプローラからのドラッグ&ドロップも可能です。
- キャプチャ例では
C:\app\requests
を指定
- キャプチャ例では
- 対象ファイル:対象とするファイルパターンを指定します(例:
*.cpp
、*.html
など)。デフォルトでは*.*
が指定され、パターンにマッチする全ファイルが対象になります。- キャプチャ例では
*.py
を指定
- キャプチャ例では
- 除外ファイル:除外したいファイルパターンを指定します。
- キャプチャ例では
*test*
を指定
- キャプチャ例では
- 除外フォルダー:除外したいフォルダーを指定します。
- キャプチャ例では
.git
を指定
- キャプチャ例では
grepの検索オプション(チェックボックス)
サクラエディタのGrepは、検索動作を細かく制御するオプションが豊富です。
- サブフォルダーからも検索する:指定フォルダーの下層階層もすべて検索対象に含めます。
- 英大文字と小文字を区別する:C言語やJavaのように区別が必要な環境で有用です。
- 単語単位で探す:スペース区切りで複数語を同時に検索できます。
- ファイル毎最初のみ検索:ファイルごとの最初の一致箇所だけをリストアップします。
これらを組み合わせることで、精密な検索条件を作成できます。
タグジャンプの基本的な使い方
-
Grep検索を実行する
- メニューの「検索 > Grep検索」または
Ctrl + G
を押して検索を行います。 - 結果が新しいタブ(Grep結果ウィンドウ)に一覧表示されます。
- メニューの「検索 > Grep検索」または
-
検索結果をクリックする
- Grep結果の各行には「ファイルパス」「行番号」「該当テキスト」が表示されます。
- 行をダブルクリックまたはEnterキーで選択すると、そのファイルが自動的に開き、該当箇所にカーソルがジャンプします。(
Ctrl + T
でも可能)
-
ジャンプ後の戻り方
Ctrl + Shift + T
またはメニュー「検索 > タグジャンプ戻る」で、Grep結果に戻れます。
-
Ctrl + T
で再びジャンプ先に進むことも可能です。 -
ジャンプ先のファイルが開いていない場合でも、自動でファイルを開いて移動します。
サクラエディタgrep検索結果の出力設定
grep検索の結果出力形式
検索実行後、結果は別ウィンドウに一覧で表示されます。出力形式は複数あり、用途に応じて切り替え可能です。
- ノーマル表示:一致箇所を1行ずつ列挙。最も一般的なモード。
- ファイル毎表示:ファイル単位で結果をまとめて出力。
- 結果のみ表示:一致文字列だけを表示。
grep検索の結果出力バリエーション
- 該当行表示:一致した行全体を出力。
- 該当部分のみ表示:マッチした文字列部分のみ抽出。
- 非該当行表示:条件に一致しなかった行を出力。
応用的な検索条件と正規表現
「正規表現」オプションを有効にすると、単純な文字列一致を超えたパターンマッチングが可能になります。
- メタ文字:
.
(任意の1文字)、^
(行頭)、$
(行末)など。 - 量指定子:
*
(0回以上)、+
(1回以上)、?
(0または1回)。 - 改行コード検索:
\r\n
を指定して改行を検索。
サクラエディタのgrep機能まとめ
サクラエディタのGrep機能は、開発者・ドキュメント制作者の双方にとって便利な検索・置換ツールです。複数ファイルにわたる検索・修正を瞬時に行えるだけでなく、正規表現を使った柔軟なパターン指定や自動化も可能です。
基本操作を理解し、検索結果を有効活用すれば、作業効率が大幅に向上します。日常のコーディングやドキュメント管理の中で、ぜひGrep機能を最大限に活用してみてください。
以上で本記事の解説を終わります。
よいITライフを!