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Pythonで開発を進める際、プロジェクトごとに異なるライブラリやバージョンを管理するために「仮想環境」を利用するのが一般的です。従来はvenv
やvirtualenv
が広く使われてきましたが、依存関係が複雑になると管理が煩雑になりがちです。
そこで登場したのがpipenv
です。pipenv
を使えば依存関係の管理と仮想環境の構築を一元的に行えるため、個人開発だけでなくチーム開発や長期運用プロジェクトでも非常に有効です。本記事では「pipenv 仮想環境」という検索意図に沿って、基本的な使い方から実務での活用ポイントまで丁寧に解説します。
pipenvはパッケージ管理ツール
pipenv
はPythonのパッケージ管理ツールで、以下のような特徴を備えています。
pip
とvirtualenv
の機能を統合し、仮想環境の構築とパッケージ管理を一括で実施- 依存関係を記録する
Pipfile
と、正確なバージョンを固定するPipfile.lock
を自動生成 - プロジェクトごとに仮想環境を分離して構築できるため、環境の衝突を防止
- チーム開発において、全員が同じ環境を簡単に再現可能
これにより、開発環境のセットアップ時間が短縮され、再現性の高い開発が可能になります。
pipenvで仮想環境を作成する
確認環境
- 環境バージョン情報
- Windows 11 Home
- Python 3.13.3(※Pythonがインストールされていること)
- 以下フォルダ構成で確認する
- C:\app\python-ex\app.py
ソースは以下を利用
app.py from flask import Flask# Flaskアプリの生成app = Flask(__name__)# ルートにアクセスしたときの処理@app.route("/")def hello():return "Hello, pipenv 仮想環境!"# エントリーポイントif __name__ == "__main__":# デバッグモードで起動(開発用)app.run(debug=True, host="0.0.0.0", port=5000) - C:\app\python-ex\app.py
pipenvのインストール
以下コマンドでpipenvが入っているか確認します。
python -m pipenv --version
pipenvがインストールされていなかった場合、pipを使ってpipenv
をインストールします。
pip install pipenv
インストールが完了したら、バージョンを確認して正常に導入できているかをチェックします。
python -m pipenv --version
>python -m pipenv --versionpipenv, version 2025.0.4
エラーが出なければ準備完了です。
仮想環境を作成
プロジェクト用ディレクトリに移動します。(移動先は自身の環境に合わせてください)
cd C:\app\python-ex\
pipenvを初期化して仮想環境を作成します。
python -m pipenv install
以下コマンドで作成した仮想環境のディレクトリパスを確認できます。
python -m pipenv --venv
これにより、そのプロジェクト専用の仮想環境が自動的に作成され、同時にPipfile
が生成されます。環境はシステム全体には影響せず、あくまでプロジェクト内で完結します。
パッケージの追加方法
パッケージのインストールは通常のpipと同じように行えますが、自動的に仮想環境に導入され、Pipfile
に記録されます。
例:Flaskをインストールする場合
python -m pipenv install flask
開発環境専用のライブラリを導入したい場合は--dev
オプションを利用します。
python -m pipenv install pytest --dev
これにより、本番環境には不要なライブラリと区別して管理できます。また、依存関係のバージョンはPipfile.lock
に固定されるため、将来的に同じ環境を再現するのが容易です。
仮想環境に入る
作成した仮想環境に入るには以下を実行します。
python -m pipenv shell
これで仮想環境内のシェルに入ることができます。 flaskがインストールされた仮想環境で以下コマンドを実行します。
python app.py
以下のようにflaskのサーバが起動します。
(python-ex-P4MymwP9) C:\app\python-ex>python app.py * Serving Flask app 'app' * Debug mode: onWARNING: This is a development server. Do not use it in a production deployment. Use a production WSGI server instead. * Running on all addresses (0.0.0.0) * Running on http://127.0.0.1:5000 * Running on http://192.168.1.19:5000Press CTRL+C to quit * Restarting with stat * Debugger is active! * Debugger PIN: 333-672-238
flaskの起動後、以下にアクセスすることで画面を表示できます。
http://localhost:5000/
仮想環境を終了したいときはexit
を入力すれば元の環境に戻ります。
また、仮想環境に入らずに一時的にコマンドを実行する場合は、以下のようにpipenv run
を利用して実行することもできます。
python -m pipenv run python app.py
これにより、本番用スクリプトやテストスクリプトを実行する際にも便利に利用できます。
pipenvのよく使う便利コマンド
- 現在の環境にインストールされたパッケージ一覧を確認
python -m pipenv graph
- 仮想環境の場所を確認
python -m pipenv --venv
- 不要になったパッケージを削除
python -m pipenv uninstall <package>
- 仮想環境を削除
python -m pipenv --rm
これらを組み合わせることで、環境の整理やデバッグが容易になります。
pipenvのチーム開発での利用方法
チーム開発では以下の手順を守ると環境の再現性が高まります。
Pipfile
とPipfile.lock
をGitリポジトリに含める- 新しい環境で以下を実行
python -m pipenv sync
pipenv sync
を使うと Pipfile.lockファイルに記録されたパッケージ・バージョンをそのままインストールし、環境差異を防ぐことができます。具体的には、以下を行います。
Pipfile.lock に記載されたパッケージをインストール → バージョンも含めてロックされた状態を再現します。
pipenv syncの使いどころ
-
本番環境のデプロイ → 開発環境と同じ依存関係を100%再現したい場合。
-
CI/CD 環境 → ビルドの再現性を保証するために、余計なパッケージが入らないようにする。
-
チーム開発 → 各メンバーが同じ依存関係で開発できるようにする。
pipenv syncのオプション
pipenv sync --dev
→ 開発用パッケージ(dev-packages)も含めて同期します。
pipenvまとめ
pipenv
は仮想環境と依存関係をまとめて管理できる強力なツールpipenv install
で簡単に仮想環境が作成され、Pipfile
とPipfile.lock
で管理されるpipenv shell
やpipenv run
で柔軟に仮想環境を利用可能- チーム開発では
Pipfile.lock
により正確な環境の再現が可能pipenv sync
→ Pipfile.lock と一致させる。
venv
やvirtualenv
と比べても利便性が高く、特に中規模以上のプロジェクトに適している
Python開発を効率化し、トラブルの少ない安定した環境を構築したい方は、ぜひpipenv
を導入して仮想環境を活用してみてください。
以上で本記事の解説を終わります。
よいITライフを!