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「ブロッキング・ノンブロッキング」と「同期・非同期」の違い、正しく説明できますか?似た概念が多く混乱しがちですが、これらはシステム設計の根幹に関わる重要な知識です。
本記事では、これら4つの定義と違いを図解で徹底比較。マトリックスを用いた具体的な使い分けや、Node.js等の事例を交えてエンジニア向けに分かりやすく解説します。この記事を読めば、現場で迷わず最適な処理方式を選択できるようになります。
記事のポイント
- 同期・非同期は「結果を待つか、通知を受けるか」という時間の流れに注目し、ブロッキング・ノンブロッキングは「制御権がすぐに戻るか」という呼び出し元の挙動に注目する概念です。
- これら2つの軸を掛け合わせた「4つの組み合わせ」を整理することで、複雑なシステム挙動や通信処理の仕組みを正確に理解できます。
- Node.jsなどで多用される「非同期ノンブロッキング」は、リソースを効率的に活用して高い並行処理能力を実現するために欠かせない技術です。
- 記事内の図解を通して、一見似ている用語の混同を解消し、API連携やデータベース操作において最適な処理方式を選択するための判断基準が身につきます。
ブロッキング・ノンブロッキングと同期・非同期の定義と根本的な違い
プログラミングやシステム設計において、「 同期・非同期 」と「 ブロッキング・ノンブロッキング 」は非常によく似た文脈で使われます。しかし、これらは「注目している視点」が異なる別の概念です。このセクションでは、それぞれの定義を整理し、それらが組み合わさった際の実務的な挙動について詳しく解説します。
同期・非同期の違いは「処理の完了を待つか、通知を受けるか」
同期(Synchronous)と非同期(Asynchronous)の違いは、主に 呼び出し側(依頼主)が処理の完了をどのように認識するか という「タイミング」の関心事にあります。
- 同期(Synchronous) 呼び出し側が、処理結果を受け取るまで制御フローを次へ進めない方式です。※必ずしもスレッドが停止(ブロッキング)するとは限らず、ノンブロッキングな同期処理(ポーリングなど)も存在します。処理の順序が保証されるため、プログラムの流れを把握しやすいのがメリットです。
- 非同期(Asynchronous) 呼び出し側は、処理を依頼した直後に自分の作業に戻ります。処理の完了は、後ほど「 コールバック 」や「 プロミス(Promise) 」、「 イベント通知 」などの仕組みで受け取ります。
| 特徴 | 同期 | 非同期 |
|---|---|---|
| 完了の確認 | 処理結果を受け取るまで制御フローが進まない | 完了通知を後で受け取る |
| 処理順序 | 依頼した順に実行される | 順序は完了タイミングに依存する |
| 主な用途 | 単純な計算、順序が重要な処理 | ファイルI/O、ネットワーク通信 |
ブロッキング・ノンブロッキングの違いは「制御権がすぐに戻るか」
ブロッキング(Blocking)とノンブロッキング(Non-blocking)の違いは、 呼び出された側が、呼び出し側のスレッド(制御権)を止めるかどうか という「実行状態」の関心事にあります。
- ブロッキング(Blocking) 依頼した処理が完了するまで、呼び出し側のスレッドが停止(待機状態)します。この間、呼び出し側は他の処理を一切行うことができません。
- ノンブロッキング(Non-blocking) 依頼した処理がすぐに終わらない場合でも、呼び出し側に即座にレスポンス(「まだ準備中」というステータスなど)を返し、 制御権を返却 します。これにより、呼び出し側は別の作業を継続できます。
混乱を解消する「4つの組み合わせ」マトリックスと具体例
これら2つの軸を組み合わせると、以下の4つのパターンが生まれます。
| ブロッキング | ノンブロッキング | |
|---|---|---|
| 同期 | ① 同期ブロッキング | ② 同期ノンブロッキング |
| 非同期 | ③ 非同期ブロッキング | ④ 非同期ノンブロッキング |
同期ブロッキングと同期ノンブロッキングの挙動
① 同期ブロッキング は、最も一般的な形式です。関数を呼び出したら、その処理が終わるまでプログラムが止まります。
- 例: 標準的なファイルの読み込み。
data = open("file.txt").read()print(data)② 同期ノンブロッキング は、制御権はすぐに戻りますが、呼び出し側が「終わった?」と何度も確認( ポーリング )する形式です。
- 例: データの準備ができるまで、ループ内でステータスをチェックし続ける処理。
補足
「②同期ノンブロッキング」は実用上はあまり効率的でなく、稀にしか使われない(教育目的での分類に近い)。
非同期ブロッキングと非同期ノンブロッキングの使い分け
③ 非同期ブロッキング は、一見矛盾しているように見えますが、非同期処理をブロッキングな待機方法で包んだ場合 に発生します。
- 例: 非同期I/Oの完了を
select / pollなどの ブロッキングAPIで待機するケース が該当します。非同期ブロッキング(select/epoll)は、単一のブロッキング呼び出しで複数のI/Oイベントを待機できるため、「複数のI/O操作をまとめて効率的に監視する」という実用的な目的があります。これは理論的なパターンではなく、高性能I/Oの基盤技術です。
④ 非同期ノンブロッキング は、現代の高パフォーマンスなサーバー(Node.jsやNginxなど)で採用されているWebサーバー用途において有効な形式です。
- 例: APIリクエストを投げ、レスポンスを待たずに別のリクエストを処理し、データが届いたらイベントハンドラを起動する。
- メリット: 少ないリソース(スレッド数)で、大量の同時接続を効率的にさばくことができます。
このように、 同期・非同期は「結果の受け取り方」 を、 ブロッキング・ノンブロッキングは「スレッドを止めるか」 を指していると理解すると、技術選定の際に迷いがなくなります。
開発現場でよくあるブロッキング・非同期処理に関するFAQ
概念を理解したところで、実際の開発現場でエンジニアが直面しやすい疑問や、技術選定のポイントについて解説します。
非同期処理とノンブロッキングは同じ意味で使っても良い?
厳密には 異なるレイヤーの概念 ですが、文脈によっては混同して使われることが多いため注意が必要です。
- ノンブロッキング: 主に 「システムコールやAPIの挙動」 を指します。呼び出した関数がすぐに制御を戻すかどうか、という呼び出し側の待ち時間の有無に焦点を当てています。
- 非同期処理: 主に 「プログラム全体の実行モデル」 を指します。処理の完了を待たずに次のタスクへ進み、後で結果を受け取る仕組み全体を指します。
実務上では、非同期処理を実現するためにノンブロッキングなI/Oを利用することが多いため、セットで語られることが一般的です。しかし、 「ノンブロッキングだが同期(ポーリング)」 という実装も存在するため、設計時にはどちらの側面を議論しているのか明確にしましょう。
Node.jsやGo言語ではなぜノンブロッキングI/Oが重視されるのか
モダンなサーバーサイド言語やランタイムにおいて、ノンブロッキングI/Oは 「大量の同時接続を効率的にさばくため」 に不可欠な要素です。
| 項目 | 従来のマルチスレッド方式 | ノンブロッキング/イベントループ方式 |
|---|---|---|
| 主な言語/ツール | Apache (PHP/Javaなど) | Node.js, Nginx, Go(ランタイムが非同期I/Oを内部で管理) |
| リソース消費 | 1接続につき1スレッド消費するため大きい | 1スレッドで多くの接続を処理するため小さい |
| C10K問題 | 接続数が増えるとメモリ不足やオーバーヘッドが発生 | 大量の同時接続にも強い |
Node.js は JavaScriptの実行がシングルスレッド で行われるため、一度でも JavaScriptスレッド上でブロッキングな処理 が発生すると、その間すべてのリクエスト処理が停止します。そのため、I/O処理はノンブロッキングに設計することが極めて重要です。
補足
Go言語では、コード上は同期的な書き方が可能ですが、実際にはランタイムが goroutine と 非同期I/O を管理することで、ノンブロッキングな並行処理を実現しています。
- Goランタイムは内部的にノンブロッキングI/Oを使用しますが、goroutineがI/O待ちになった場合、そのgoroutineはスケジューリングキューから外され、他のgoroutineが実行されます。
- ユーザーから見ると同期的に書けますが、ランタイムが自動的にコンテキストスイッチを行う仕組みです。
API連携やデータベース操作で最適な組み合わせを選ぶ基準は?
開発するアプリケーションの特性に合わせて、以下の基準で処理方式を選択します。
- I/O待ちが多い場合(外部API、DB操作):
- 非同期ノンブロッキング を推奨します。ネットワークのレスポンスを待っている間に他のリクエストを処理できるため、スループットが劇的に向上します。
- CPU負荷が高い計算処理(画像加工、暗号化):
- ノンブロッキングにしても計算自体にCPUを占有するため、あまり意味がありません。この場合は マルチスレッド や ワーカープロセス を活用して、メインのスレッドをブロックしない工夫が必要です。
- シンプルさが求められるツール(CLI、バッチ処理):
- 同期ブロッキング が適しています。コードが上から下に順番に実行されるため、デバッグが容易でロジックが複雑になりません。
選定基準の早見表:
- 高並列・リアルタイム性 が必要 ➡ 非同期ノンブロッキング (Node.js, Go, Python/FastAPIなど)
- 計算リソースの最大活用 が必要 ➡ マルチスレッド・並列処理 (Java, Rust, C++など)
- 開発速度・単純な順次実行 ➡ 同期ブロッキング (標準的なスクリプト言語の書き方)
このように、システムのボトルネックが 「待ち時間(I/O)」 にあるのか 「計算時間(CPU)」 にあるのかを見極めることが、最適な方式を選ぶ鍵となります。
まとめ:適切な処理方式を選択するための重要ポイント
今回のまとめ:振り返りチェックリスト
-
「同期・非同期」は呼び出し側の待ち方(完了通知を待つか) に注目し、「ブロッキング・ノンブロッキング」は制御権がすぐに戻るか(処理が止まるか) に注目して、概念を切り分けて整理しましょう。
-
高いスループットが求められるWebサーバーやリアルタイム通信では非同期ノンブロッキングを、処理の順番が重要でシンプルな実装が求められるバッチ処理などでは同期ブロッキングを検討するなど、要件に応じた使い分けが重要です。
-
外部API呼び出しや重いDB操作を実装する際は、その処理が「スレッドを占有して全体のレスポンスを下げていないか」という視点でマトリックスのどのパターンに該当するかを再確認しましょう。
-
アドバイス: 今日からコードを書く際や設計レビューをする際に、「この処理は今、制御権がどこにあるのか?」を一度立ち止まって意識するだけでも、パフォーマンスのボトルネックを防ぐ力が格段にアップします!
同期・非同期、ブロッキング・ノンブロッキングの違いを正しく理解することは、現代のエンジニアにとって避けては通れない課題です。これらは一見似ていますが、 「処理の完了をどう扱うか(同期・非同期)」 という実行順序の観点と、 「呼び出し元のスレッドを止めるか(ブロッキング・ノンブロッキング)」 という制御権の観点という、全く異なる 2 つの軸で構成されています。
これら 4 つの概念を整理すると、以下の表のようになります。
| 概念 | 注目するポイント | 主な挙動 |
|---|---|---|
| 同期 (Synchronous) | 制御フロー | 処理結果を受け取るまで、制御フローが次へ進まない。 |
| 非同期 (Asynchronous) | 完了の通知 | 処理を依頼した後、完了を待たずに別の作業を進める。 |
| ブロッキング (Blocking) | 制御権の所在 | 呼び出した処理が終わるまで、呼び出し元に制御が戻らない。 |
| ノンブロッキング (Non-blocking) | 制御権の所在 | 処理の成否に関わらず、呼び出し後すぐに制御が戻る。 |
システムのパフォーマンスを最大化するためには、これらの特性を組み合わせて最適なアーキテクチャを選択する必要があります。
開発効率とパフォーマンスを両立させるための振り返りチェックリスト
実際の開発現場で「どの方式を採用すべきか」を判断するための指針をまとめました。設計やコードレビューの際に、以下のチェックリストを活用してください。
- I/O待ち(DB・API・ファイル操作)がボトルネックか?
- もしそうなら、 非同期ノンブロッキング の採用を最優先しましょう。スレッドを解放することで、限られたリソースで大量のリクエストを処理できるようになります。
- 処理の結果が次のステップに絶対必要か?
- 結果がないと先に進めない単純なロジックであれば、無理に非同期化せず 同期ブロッキング で書くほうがコードが読みやすく、保守性が高まります。
- CPUを酷使する重い計算処理か?
- 画像変換や暗号化などの計算処理は、ノンブロッキングにしてもCPU自体が占有されます。この場合は、メインスレッドから切り離した マルチスレッド(並列処理) を検討してください。
- チームの技術スタックと学習コストは見合っているか?
- 非同期処理はエラーハンドリングや実行順序の制御が複雑になりがちです。
async/awaitなどの構文を適切に使い、 可読性 を損なわない工夫が必要です。
- 非同期処理はエラーハンドリングや実行順序の制御が複雑になりがちです。
// 例:JavaScript(Node.js)での非同期ノンブロッキングな書き方async function getUserData(id) { try { // データベースへの問い合わせ中もメインスレッドをブロックしない const user = await db.users.find(id); console.log("ユーザー取得完了:", user); } catch (error) { console.error("エラー発生:", error); }}エンジニアとして、単に「動く」だけでなく「効率的に動く」システムを作るためには、これらの概念を血肉化することが重要です。 パフォーマンス と 開発スピード のバランスを見極め、プロジェクトにとって最適な選択を行いましょう。
ITエンジニアにお勧めの本
以上で本記事の解説を終わります。
よいITライフを!