DRAMとSRAMの違い・覚え方を徹底解説!

DRAMとSRAMの違い・覚え方を徹底解説!

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DRAMとSRAMの違いをわかりやすく解説!メモリの基本構造や仕組み、速度・コスト・用途の違いを徹底比較します。キャッシュメモリとメインメモリの役割、リフレッシュの必要性、1T1Cセルとフリップフロップ構造の違い、初心者でも理解しやすい覚え方も紹介します。


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コンピュータやスマートフォンなど、現代のデジタルデバイスに欠かせない「メモリ」。 その中でも特に重要な揮発性メモリが DRAM(Dynamic RAM)SRAM(Static RAM) です。

どちらも「データを一時的に保持するメモリ」ですが、仕組みや用途は大きく異なります。 本記事では、構造・動作原理から速度・コスト・用途までわかりやすく比較します。

記事のポイント

  • DRAMとSRAMはいずれも揮発性メモリだが、構造・速度・用途が異なる
  • DRAM:1T1C構造で容量を大きくしやすく、安価・大容量だがリフレッシュが必要で速度は遅め
  • SRAM:6Tフリップフロップ構造で電源供給中は安定してデータ保持、高速だが高コストで小容量
  • 主な用途
    • DRAM → PC/スマホのメインメモリ
    • SRAM → CPUキャッシュメモリ
  • メモリ階層により、速度とコストの最適バランスを実現
  • 覚え方:「D(でかい容量)R(リフレッシュ必要)→ DRAM、S(スピード重視)RAM → SRAM」

DRAMとSRAMは揮発性メモリ

DRAMとSRAMはどちらも電源が切れるとデータが失われる「揮発性メモリ」です。違いは、どの層で使われるか動作方法にあります。

項目DRAMSRAM
メモリ分類揮発性メモリ揮発性メモリ
主な用途メインメモリCPUキャッシュ
電源OFF時データ消失データ消失

メモリ階層(上から高速)

CPUレジスタ(最速)
SRAM:CPUキャッシュ
DRAM:メインメモリ
SSD/HDD

DRAM(Dynamic Random Access Memory)の基本

DRAMは、電荷をキャパシタに蓄えて情報を保持する方式のメモリです。時間とともに電荷が漏れるため、 周期的なリフレッシュ動作(読み直し・書き戻し) が必須です。この特性により「Dynamic(動的)」という名前が付けられています。

DRAMの構造・仕組み

DRAMは、トランジスタ1個+キャパシタ1個のシンプルな構造(1T1Cセル)でデータを保持します。

  • キャパシタ:電荷の有無でデータ(0/1)を表現
  • 1bitの情報を1つのキャパシタと1つのトランジスタで保存
  • 電荷が減るため、定期的にリフレッシュが必要

1T1CはDRAMセルの回路構造

1T1C構造とは、DRAMセル(メモリの最小単位)の回路構造を表す言葉で、1個のトランジスタ(T)と1個のキャパシタ(C) で1ビットの情報を保持する方式を指します。

要素役割
1T(1 Transistor)電荷の出し入れを制御するスイッチ
1C(1 Capacitor)電荷を蓄える「小さな電池」=0/1を表す

電荷の有無でデータを記憶します。

  • 構造が単純 → 小さく作れる → 大容量化しやすい
  • キャパシタの電荷は時間とともに減るため → 定期的にリフレッシュが必要
  • 低コスト/大容量向き

電気の出し入れを「蛇口(トランジスタ)」と 水の溜まりを「コップ(キャパシタ)」に例えるとイメージしやすいです。

特徴説明
構造1トランジスタ+1キャパシタ
メリット高密度・大容量化が簡単・低コスト
デメリット電荷が減るのでリフレッシュが必要

DRAMの特徴:リフレッシュが必要

  • 破壊読み出し: DRAMはデータを読み出す際にキャパシタの電荷を失ってしまうため、読み出し後にデータをメモリセルに書き戻す動作(リストア動作)が必要である
  • 高集積度:1bitあたりの回路が小さく、大容量に向いている
  • コストが安く、一般用途のメインメモリとして普及
  • リフレッシュ動作のため速度がSRAMより遅い
  • 消費電力は用途に応じては高くなる
  • アクセス速度はSRAMより遅い

DRAMの用途

  • PC・スマホのメインメモリ(主記憶装置)
  • GPUメモリ(GDDRもDRAM技術の一種)
  • サーバー向け ECCメモリ

SRAM(Static Random Access Memory)の基本

SRAMは、トランジスタの状態で情報を保持する方式です。電荷保持の必要がないため、リフレッシュ不要で、動作は安定して高速です。「Static(静的)」は状態が安定して変化しないことを意味します。

SRAMの構造・仕組み

SRAMはフリップフロップ回路(トランジスタ6個など) でデータを保持します。

  • 1bitの情報を通常6つのトランジスタで構成(6Tフリップフロップ構造)
  • 電源がある限りデータを保持
  • 情報を保持するためのリフレッシュは不要

DRAMが電荷の有無でデータ保持(1T1C)するのに対し、 SRAMはフリップフロップ回路で状態そのものを保持します。

6Tフリップフロップ構造

6Tフリップフロップ構造 とは、SRAMセル(メモリの最小単位)の回路構造で、6個のトランジスタ(6T: 6 Transistors) を使って1ビットのデータを保持する方式のことです。

電源が供給されている限り回路の状態(電気信号)を維持できる

という特徴があります。

つまり、電気信号が安定した形で「0」または「1」を保持し続けます。

回路要素役割
4つのトランジスタフリップフロップを構成し、状態保持
2つのアクセス用トランジスタデータの読み書きに使用

合計 6個のトランジスタ → 6T SRAMセル

フリップフロップ回路は2つの反転器(インバータ) で構成されます。 各インバータに2トランジスタ → 4トランジスタ さらに読み書き制御用に2トランジスタ → 計6T

項目内容
メリット高速・リフレッシュ不要・データが安定
デメリットトランジスタ数が多い → 面積大 → 高コスト
主用途CPUのキャッシュ

DRAMの1T1Cとの違いをまとめると下記の通りです。

項目DRAM(1T1C)SRAM(6T)
データ保持方式キャパシタの電荷フリップフロップ回路
トランジスタ数16
特長大容量・安価高速・安定
リフレッシュ必要不要

SRAMの特徴:リフレッシュ不要

SRAMは電圧状態の切り替えのみで動作し、DRAMのような充電→読み出し→書き戻しといった手順が不要です。そのため、CPUのようなナノ秒単位の処理が求められる用途に最適です。

  • 読み書きが非常に高速
  • リフレッシュ不要で安定動作する
  • 低レイテンシでCPU性能に直結する
  • 回路が状態を保持する
  • 回路規模が大きく集積度が低い:大容量化に不向き・高コスト

SRAMの用途:キャッシュメモリ

  • キャッシュメモリ (Cache Memory)
  • レジスタファイル
  • モバイルデバイスや高性能コンピューティング分野

DRAMとSRAMの比較一覧

観点DRAMSRAM
セル構造1T1C約6T
速度遅い(相対的)非常に速い
リフレッシュ必要不要
集積度高い低い
コスト低い高い
消費電力リフレッシュ動作により動作中の消費電力が比較的高いリフレッシュ不要で待機時の消費電力が低いが、動作時はケースバイケース
主な用途メインメモリCPUキャッシュ
保持方式キャパシタの電荷トランジスタの電圧状態
回路規模小さい大きい
容量大容量向き小容量向き
レイテンシ約10ns以上約1ns

DRAMとSRAMの違い覚え方と語呂合わせ

  • DRAM = 大きな倉庫(広い・安いが管理が必要)
  • SRAM = 手元の引き出し(小さいが超速アクセス)

CPUは必要なデータをすぐ使いたいので、まずSRAMに置く(キャッシュ) → 足りなければDRAMから取ってくるという仕組みです。

初心者でも直感的に理解できる覚え方(語呂合わせ)を紹介します。

語呂合わせ:

D(でかい容量)R(リフレッシュ必要)→ DRAM
S(スピード重視)RAMSRAM

この語呂合わせで覚えると記憶に残りやすいです。

DRAM・SRAM違いまとめ

項目DRAMSRAM
メリット大容量・低コスト高速・低レイテンシ
デメリットリフレッシュ必要・遅い高コスト・大容量化困難
用途メインメモリCPUキャッシュ
  • DRAM = 大容量・安い・遅い → Main Memory
  • SRAM = 高速・高価・小容量 → CPU Cache

大容量が必要ならDRAM、高速性が最重要ならSRAMが選択されます。 どちらが優れているというより、用途に応じて最適化されていることがポイントです。PC・組込み開発・クラウド設計の知識としてぜひ覚えておきましょう。


以上で本記事の解説を終わります。
よいITライフを!
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