
スポンサーリンク
インターネットやネットワークについて調べていると、「グローバルIPアドレス」や「プライベートIPアドレス」といった用語に出会うことがあります。これらは、ネットワーク通信において非常に重要な概念であり、家庭用ネットワークから企業システム、クラウド環境に至るまで、あらゆる場所で使われています。
本記事では、それぞれのIPアドレスの定義や仕組み、使われ方からグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの違いや覚え方を詳しく解説していきます。
IPアドレスはコンピュータ上の住所
IPアドレス(Internet Protocol Address)とは、コンピュータやスマートフォン、ルーターなどのネットワーク機器が通信を行うための「住所」のようなものです。このIPアドレスにより、ネットワーク上の送信先や送信元を特定することが可能になります。
現在広く使われているIPアドレスには、IPv4(例:192.168.1.1)と、より新しいIPv6(例:2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334)の2つのバージョンがありますが、この記事ではIPv4を前提として解説します。
IPアドレスは大きく分けて以下の2種類に分類されます。
- グローバルIPアドレス
- プライベートIPアドレス
この2つのアドレスは役割も使われ方もまったく異なります。
グローバルIPはインターネット上で一意
- インターネット上で一意に割り当てられるIPアドレスです。
- インターネットに直接接続するデバイスやネットワークに対して割り当てられます。
- 世界中でユニークであり、同じIPアドレスが他のデバイスに割り当てられることはありません。
グローバルIPアドレスは、インターネット上で唯一無二の存在であり、全世界でただひとつだけの番号が割り当てられます。このIPアドレスは、インターネット上の他のネットワーク機器と直接通信を行うために使用されます。
たとえば、あなたの自宅のインターネット回線に接続されているルーターには、インターネットプロバイダ(ISP)からグローバルIPアドレスが割り当てられます。ルーターはこのアドレスを使ってインターネットと通信します。
クラウドサービスで仮想サーバーを立てるときや、ウェブサイトを公開する際も、このグローバルIPアドレスを利用します。
グローバルIPの特徴
- インターネット上で一意に割り当てられる。
- ISPやクラウド事業者によって提供されて、一般的には有料。
- 直接外部のネットワークと通信できる。
- 静的(固定)IPと動的(可変)IPがある。
グローバルIPの用途
- デバイスやネットワークがインターネット上の他のネットワークと通信するために使用されます。
- 例: 家庭のルーターやWebサーバーに割り当てられるIPアドレス。
グローバルIPの例
203.0.113.1
- インターネットサービスプロバイダー(ISP)が各ユーザーに割り当てます。
プライベートIPアドレスはローカルネットワーク内で一意
プライベートIPアドレスは、家庭や企業内のローカルネットワーク内で使用されるアドレスです。このアドレスはインターネット上では一意である必要はなく、異なるローカルネットワーク内で同じプライベートIPが使われても問題ありません。
たとえば、自宅のWi-Fiに接続されたスマートフォンやノートパソコン、テレビなどには、ルーターによってプライベートIPアドレスが自動的に割り当てられます。これらの機器はまずローカルネットワークで通信し、インターネットに出るときにはルーターを介してグローバルIPアドレスに変換(NAT)されます。
- 内部ネットワーク内でのみ使用されるIPアドレスです。
- ルーターやファイアウォールの内側(LAN内)で利用されます。
- 外部のインターネットからは直接アクセスできません。
プライベートIPの特徴
- インターネットに直接接続できず、ローカルネットワーク内でのみ有効。
- NAT(Network Address Translation)で外部通信を実現する。
- 外部から直接アクセスできないため、セキュリティ面で有利。
- IPアドレスは無料で利用でき、DHCPによりネットワーク機器に自動割り当てが可能。
- 同じ範囲のIPアドレスが複数の異なるネットワークで利用可能。
プライベートIPの用途と範囲
-
ローカルネットワーク内のデバイス(PC、スマートフォン、プリンタなど)が互いに通信するために使用されます。
- 例: 家庭やオフィスのLAN内の各デバイス。
-
プライベートIPアドレスの範囲(以下の範囲がRFC1918で予約されています)
10.0.0.0
~10.255.255.255
172.16.0.0
~172.31.255.255
192.168.0.0
~192.168.255.255
グローバルIPとプライベートIPの違い
両者の違いを以下の表にまとめました。
項目 | グローバルIPアドレス | プライベートIPアドレス |
---|---|---|
利用範囲 | インターネット全体 | ローカルネットワーク内 |
一意性 | 世界で一意 | 同一ネットワーク内で一意 |
割り当て元 | ISP、クラウド事業者 | ルーターやDHCPサーバー |
セキュリティ | 外部から直接アクセス可能 | 外部から直接アクセス不可で比較的安全 |
NATの必要性 | 不要 | 通常必要 |
通信対象 | 外部のインターネット全体 | 同一ネットワーク内、またはNAT経由で外部 |
グローバルIPとプライベートIPの覚え方
グローバルIPとプライベートIPの違いを覚えるのに便利なイメージは、「郵便の住所」と「社内の内線番号」です。
- グローバルIP:郵便を出すときに使う正式な住所。誰でもアクセスできる外部向けの識別子。
- プライベートIP:社内の内線番号のように、限られた範囲(家庭や企業のネットワーク)でしか使えない番号。
つまり、「外向き(インターネット用):外の世界とつながるにはグローバルIP」「内向き(ローカル用):家の中や会社の中だけならプライベートIP」と覚えると理解しやすいです。
グローバルIPとプライベートIPの使い分け
たとえば、リモートワークで社内ネットワークにVPN接続する場合や、自宅からクラウド上のサーバーにアクセスする際には、グローバルIPが必須となります。一方で、家庭内で複数のデバイスを同時に使うときには、プライベートIPでローカルネットワークを効率よく運用できます。
また、グローバルIPはセキュリティリスクを伴います。誰でもアクセスできる状態になるため、ファイアウォールやアクセス制限などの対策が不可欠です。逆に、プライベートIPは外部から見えないことで自然な防御壁となります。
- プライベートIPアドレスを持つデバイスがインターネットに接続する際、ルーターがNAT(Network Address Translation)を使用して、プライベートIPをグローバルIPに変換します。
- これにより、1つのグローバルIPアドレスで複数のデバイスがインターネットに接続できるようになります。
IPアドレスの活用例
- 家庭のネットワーク構成:
- ルーター(グローバルIP:
203.0.113.1
) - PC(プライベートIP:
192.168.0.2
) - スマホ(プライベートIP:
192.168.0.3
) - プリンタ(プライベートIP:
192.168.0.4
)
- ルーター(グローバルIP:
補足:203.0.113.1はドキュメンテーション用途に予約されている特殊なIPアドレスです。
この場合、家庭内のデバイスはプライベートIPを使って相互に通信しますが、インターネットアクセス時はルーターのグローバルIPを介して通信が行われます。
グローバルIPとプライベートIP違いまとめ
グローバルIPアドレスは「インターネット上の正式な住所」、一方でプライベートIPアドレスは「家庭や会社の中だけで使われる内部住所」と捉えるとわかりやすいでしょう。
ネットワークを安全かつ効率的に構築・運用するためには、これらの違いと使いどころを正しく理解することが重要です。
今後、IoTやテレワーク、クラウドの普及に伴い、IPアドレスの管理と設計はさらに重要性を増していきます。この機会に、IPアドレスの基本とそれぞれの役割について深く理解しておきましょう。
以上で本記事の解説を終わります。
よいITライフを!