OSI基本参照モデルの覚え方(語呂合わせ)【基本情報対策】

OSI基本参照モデルの覚え方(語呂合わせ)【基本情報対策】

記事の文字数:2842

OSI参照モデルについて第1層~第7層の説明と覚え方を解説します。階層の順番は語呂合わせを使うと覚えやすいです。第7層から順番に各頭文字で アプセトネデブ と語呂で覚えるのがおすすめです。基本情報技術者試験の過去問題も解いて理解を深めましょう。

1970〜80年代に多くのベンダーが独自の通信プロトコルを使用していたため、機器同士の互換性がなく「ネットワークの孤島化」が大きな問題となっていました。国際標準化機構(ISO)は、この課題を解決し、異なるメーカーの機器でも通信できる共通ルール(共通言語)を定めるために、1984年にOSI参照モデルを策定しました。

OSI参照モデルとは

🌐 OSI参照モデル

ネットワーク通信の7階層構造

⚠️

🏝️ ネットワークの孤島化問題

1970年代〜80年代
独自プロトコル乱立
互換性なし
1984年 OSI策定

問題:各ベンダーが独自の通信プロトコルを使用 → 機器同士の互換性なし

解決:ISO(国際標準化機構)が共通ルール「OSI参照モデル」を策定

コンピューターが通信するために利用するネットワークの機能を7つの階層に分類して、整理したモデルのことです。
国際標準化機構(ISO)によって策定されています。

標準化の重要性

OSI参照モデルは標準化の土台として機能し、互換性の確保、トラブルシューティングの容易化(どの層に問題があるか切り分けやすい)、教育や理解の促進に不可欠です。この定義がないと、機器メーカーによって制御方法がバラバラになり、相互接続ができなくなる可能性があります。

OSI参照モデルを理解する最大のメリットは、実務でのトラブルシューティング能力向上にあります。ネットワーク障害が発生した場合、モデルを基準に問題を切り分けることで、効率的な解決策を見つけることができます。例えば、Webサイトにアクセスできない時、L1(ケーブル抜け)の問題か、L3(ルーティングの問題)か、L7(Webサーバーの問題)かを体系的に切り分けられます。

7層からなるOSI参照モデル

L7
🖥️ アプリケーション層
ユーザーとネットワーク間のやり取りを管理
WWW、メール、ファイル転送
HTTP, FTP, SMTP, DNS
L6
🔧 プレゼンテーション層
データ変換、暗号化・復号化、圧縮
データ形式の統一
JPEG, MPEG
L5
🤝 セッション層
通信セッションの確立、管理、終了
アプリケーション間のデータ交換管理
SSL/TLS
L4
🚛 トランスポート層
データの分割と再構築、信頼性確保
エラー訂正
TCP, UDP
L3
🗺️ ネットワーク層
異なるネットワーク間のルーティング
IPアドレスで経路決定
IP, ARP, ICMP
L2
🔗 データリンク層
直接接続された機器同士の通信
MACアドレス使用
Ethernet, Wi-Fi
L1
⚡ 物理層
電気信号・光信号、物理的接続
物理媒体での送受信
IEEE 802.3, 802.11

以下の通り、第7層から第1層まであります。

階層名称概要役割
第7層アプリケーション層アプリケーションユーザーとネットワーク間のやり取りを管理する。
ユーザーが直接触れる通信の窓口。
利用例
WWW、メール、ファイル転送、ウェブ閲覧。
プロトコル
HTTP、FTP、SMTP、POP3、IMAP、DNS
Telnet、etc
第6層プレゼンテーション層データの表現形式データ変換や暗号化・復号化、データ圧縮。
データ形式の統一を行う層。
アプリケーション層がデータを理解できるようにする。
利用例
データ暗号化、文字コード変換、データ圧縮
プロトコル:JPEG、MPEG
第5層セッション層通信手段通信セッションの確立、管理、終了を行う層。
異なるアプリケーション間でのデータ交換を管理。
利用例
セッション管理プロトコル、RPC
プロトコル:SSL/TLS
第4層トランスポート層エンド間の通信制御データの分割と再構築、信頼性の確保。
エラー訂正を行う。
プロトコル:TCP、UDP
第3層ネットワーク層データを送る相手を決め
最適な経路で送信
異なるネットワーク間でのデータのルーティングや転送を行う層。
IPアドレスを使用してデータの経路を決定。
利用例
IPアドレス、ルーター
プロトコル:IP、ARP、ICMP、IPsec
第2層データリンク層機器同士の通信を実現直接的に接続された機器同士の通信を実現する。
利用例
MACアドレス、イーサネット、Wi-Fi
プロトコル:PPP、フレームリレー、イーサネット
第1層物理層物理的な接続、電気信号電気信号や光信号、物理的な接続を扱う層。
データを物理的媒体を通じて送受信する。
利用例
イーサネットケーブル、USB、光ファイバー
プロトコル
IEEE 802.3(イーサネット)、IEEE 802.11(Wi-Fi)

各階層に対応する機器

🔧 各階層の対応機器

L7-L4
🌐 ゲートウェイ
L3
📡 ルータ
L2
🌉 ブリッジ
L1
📶 リピータ

各階層は以下機器に対応しています。

階層名称機器
第7層アプリケーション層ゲートウェイ
第6層プレゼンテーション層ゲートウェイ
第5層セッション層ゲートウェイ
第4層トランスポート層ゲートウェイ
第3層ネットワーク層ルータ
第2層データリンク層ブリッジ
第1層物理層リピータ

OSI参照モデルの覚え方(語呂合わせ)

🧠 語呂合わせで覚えよう!

アプセトネデブ

ア-プリ・プ-レゼン・セ-ッション・ト-ランス・ネ-ット・デ-ータ・ブ-ツリ(物理)


機器の覚え方

ブリデブネルゲー

物理→リピータ・データ→ブリッジ・ネット→ルータ・上位層→ゲートウェイ

順番の覚え方

階層の順番は語呂合わせを使うと覚えやすいです。
第7層から順番に各頭文字でアプセトネデブと語呂で覚えるのがおすすめです。

  • :アプリケーション層(第7層)
  • :プレゼンテーション層(第6層)
  • :セッション層(第5層)
  • :トランスポート層(第4層)
  • :ネットワーク層(第3層)
  • :データリンク層(第2層)
  • :物理層(第1層)

各層と機器の覚え方

各層と対応する機器は、第1層からブリデブネルゲーで覚えます。

  • ブリ:物理層⇒リピータ
  • デブ:データリンク層⇒ブリッジ
  • ネル:ネットワーク層⇒ルータ
  • ゲー:以降の層⇒ゲートウェイ

TCP/IPとの違い

📚 OSI参照モデル
L7: アプリケーション層
L6: プレゼンテーション層
L5: セッション層
L4: トランスポート層
L3: ネットワーク層
L2: データリンク層
L1: 物理層

特徴:理論重視の教育モデル

🚀 TCP/IPモデル
L4: アプリケーション層
L4: (統合)
L4: (統合)
L3: トランスポート層
L2: インターネット層
L1: ネットワーク
インターフェース層
L1: (統合)

特徴:実装重視の実用モデル

OSI参照モデルは理論重視のモデル(教育的モデル)であり、TCP/IPモデルは実装重視のモデル(実用モデル)として位置づけられます。

OSI参照モデルとTCP/IPの主な違いは以下の通りです。

  • OSI参照モデルが7つの階層であるのに対し、TCP/IPモデルは4つの階層で構成。
  • OSI参照モデルよりも、効率的かつ現実的な仕様となっているのがTCP/IPモデル。

OSI参照モデルと各階層との対比は以下表の通りです。

階層名称(OSI参照モデル)階層名称(TCP/IPモデル)
L7アプリケーション層L4アプリケーション層
L6プレゼンテーション層L4アプリケーション層
L5セッション層L4アプリケーション層
L4トランスポート層L3トランスポート層
L3ネットワーク層L2インターネット層
L2データリンク層L1ネットワークインターフェース層
L1物理層L1ネットワークインターフェース層

TCP/IPモデルでは、OSIモデルのL5(セッション層)、L6(プレゼンテーション層)、L7(アプリケーション層)の3層が、TCP/IPのアプリケーション層(L4)に集約されています。これは、実装上これらの機能がアプリケーションに統合されることが多いためです。

実際のネットワーク環境ではTCP/IPモデルが主に使用されています。しかし、トラブルの切り分けや設計、教育の現場では、OSI参照モデルの7階層構造が「共通言語」として依然として重要です。

基本情報・応用情報過去問

過去問を解いて、理解度を深めましょう。
基本情報技術者試験ドットコム等のリンクを載せておきます。

基本情報技術者平成23年秋期 午前問37
基本情報技術者平成24年秋期 午前問34
基本情報技術者平成27年秋期 午前問31
ソフトウェア開発技術者平成19年秋期 午前問54
応用情報技術者平成22年春期 午前問36
ネットワークスペシャリスト平成27年秋期 午前Ⅱ 問3


以上で本記事の解説を終わります。
よいITライフを!
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